東京からのお客様 ⑥
先日、私が大学を卒業して初めて入社した会社の先輩がご家族づれでご来店されました。東京南青山のご自宅からわざわざお出でいただきました。もう20年も前の話ですが、新入社員向けのOJTでブラザー社員として、私の指導役になっていただいたのがHさんです。社会に初めて出て、右も左もわからない私に熱心にご指導いただきましたのは昨日のことのようです。
「後輩が入ってきたら、順番にしてやれよ」と1年間は、昼食、飲み代は支払った記憶がありません。決して、お金があった訳ではないと思うのですが、当時はそういうことが自然だったですね。とてもありがたかったです。
飲みにも色々連れていっていただきました。会社は小田急線の代々木上原にあるのですが、ここは都心にあって閑静な住宅街もあるので、良い雰囲気のアットホームなのみ屋さんが多いのです。飲んでいて遅くなり、帰れなくなってHさんのご自宅に泊めていただいたのも、1度や2度ではありません。
「良い酒を飲んで、偉くなれ!」といつも励ましてくれたのがHさんでした。場合によっては、下を潰しにかかる年長者がいるのがサラリーマン社会の常ですが、Hさんは明らかに違っていました。私が3年いたその会社をやめ、自分の夢をかなえるために車関係の会社に行くときも快く送り出していただきました。あれから20年、当時30歳くらいで主任だったHさんは、いまや系列の管理会社の副社長です。自分は果たして期待に応えられたのかと、胸が痛むことがありますが、今はこのお店を成功させることに精一杯努力していきたいと思っています。
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