テロアーコーヒー ” Terroir Coffee Company “
2007年にあるコーヒー会社のカッパー(テイスター)の方とボストン、シカゴを回り、アメリカの最新のコーヒーショップ事情を見てきました。
アメリカは日本に比べればスペシャルティコーヒーの市場も大きく、進んでいることが多くみられます。アメリカンコーヒーなどと揶揄していたことは、過去のもののようです。
そんな中で、一番行きたいと思っていたのがジョージハウエル氏が経営される「テロアーコーヒー」です。ジョージハウエル氏といえば、スペシャルティーコーヒーの礎を築いた方の一人で、スペシャルティーコーヒー豆の国際オークションC.O.E(カップ オブ エクセレンス)の創設者の一人でもあります。C.O.E.の評価シートも氏が考案したものがベースになっています。
そんな方ですから、気難しい方なのかなと思っていたのですが、全く気さくな方で、フレンドリーに色々お話してくださり、びっくりしました。
テロアー(テロワール)とはワイン用語で、最終的な定義はまだ定まっていないものの、一般的には産地の土壌、風土、気候などのことを言います。
そういったテロワールによって(さらに微小気候マイクロクライメイトも重要)、ワインは様々な味の多様性を持ちます。コーヒーも農産物ですから、同じように味の多様性を持つ可能性がある訳です。実際に、注意深く種の選定から抽出まで一貫して管理されたスペシャルティコーヒーは味の多様性を楽しむことができます。
但し、そういった味の多様性を楽しむためには、ワイン以上に気を使う必要があるように思います。品質を損なう機会は、生産工程、輸送工程、保管、焙煎、抽出などあらゆる場所に潜んでいます。そういったあらゆる工程に気を使い、一貫して品質を維持することに成功したコーヒーがお客様の口にスペシャルティーコーヒーとして入るのです。
そういう意味において、少し大げさかもしれませんが、「奇跡のコーヒー」と言ってもいいかもしれません。
ジョージハウエル氏の品質に賭ける情熱に敬服した次第です。
テロアーコーヒーでは、焙煎が深いものはあまりありません。「Full Flavor Roast」という、一番そのコーヒーのフレーバーが明瞭なポイントでローストされています。今の日本ではシティー、フルシティーの中間くらいが主流になってきている感じがしますが、それよりさらに浅いポイントです。勿論、焙煎は色だけでは判断できません。
開業顛末記に後日詳しく書こうと思いますが、ものによっては生豆の保管方法は真空パック+冷凍まできています。こうすることで優れたビンテージのロットを後年になっても楽しむことができるのです。いつかは私もやってみたいです。いえ、必ずやります。