資格を持っているコーヒー屋はおいしい?
お客様から「コーヒーの資格をたくさんもっているんですね。」とよく言われます。では果たして資格を持っているとそのお店のコーヒーはおいしいのでしょうか?自己否定するようですが100%そうとは言い切れないというのが事実ではないでしょうか。
確かにSCAA認定カップ審査員(SCAA Certified Cupping Judge、CQI認定Qグレーダー(CQI Licensed Q Grader)ともに簡単に取得できる資格ではありません。(特にQグレーダーはコーヒーに関する唯一の国際認定資格であり、SCAAカップ審査員の全科目22要素をさらに高い合格基準でクリアし、コーヒーの知識に関する筆記試験をクリアして合格になりますので、難易度はかなり高いといえます。スペシャルティコーヒーの味覚的な格付けをするための免許ですから、生産者の生活を左右するともいえ、今後グレーダーの責任は大変重大です。)非常に繊細な味覚感度と科学的および化学的知識を要求されます。
しかし、誤解を恐れずに申し上げれば、だからと言って、それだけでイコール優秀なカッパー(Cupper/テイスター)とは限らない思うのです。勿論、資格をお持ちでなくても、優秀なカッパーは世界にはたくさんおられますね。
なぜでしょうか。それは客観性のある評価をするためには必ず相応の経験を積む必要があるからです。例えば、より良いのものを知らなければ、今飲んでいるものがどのくらいの点数のつくものか正確な評価をすることは難しい。さらに評価シートに言葉や文字にして具体的に表現する必要があります。これらのことはコーヒー自体もそうですが、それ以外の経験の積み重ねも必要です。客観性のある評価というのはそこが難しいところです。どんなに味覚感度が優れていても経験がなければ客観的な評価は難しい。
味覚評価は官能評価であり、正しい経験を積み上げなければより客観的で公平な評価をすることはとても難しいと思います。
勿論、大多数のきちんとした経験の上に資格をとられた方は、さらにその評価者としてのお墨付きが得られたとも言えるのではないでしょうか。こういった資格が「コーヒーを積極的に勉強したい」と思っている人のモチベーションになっていることも事実ですし、商業的な価値もきっと高いでしょう。
資格はカッパーとしてのポテンシャルを認められたようなもの。あとはそこにきちんとした経験を積み重ねていくことが重要と思います。資格の上にあぐらをかくようなことがあってはなりません。
私の弱点は勉強のスタートが「スペシャルティコーヒー」だったということでしょうか。逆にいいますと、コマーシャルコーヒーをあまり知りません。SCAAカップ審査員の試験のときには、コーヒー業界何十年という方たちの中で私は厳しい点数(他のカッパーが評価した点数より低い点数)をつける傾向がありました。
あとは、コーヒー以外の様々な飲料、食などに対して興味を持ち、バランスよく味に対する経験を積み、自分の中に取り込むことだと思います。このあたりはすきでしたのでかなり一生懸命?やってきました。
趣味嗜好ではない客観的評価。非常に難しいことですが、これをやらずしては「真のスペシャルティコーヒー」は入手することすらできないのが実情です。
私もまだまだ勉強し続けます。
*SCAA認定カップ審査員資格取得のためには約1週間朝から晩までみっちり勉強することが必須(試験と講義が一体になっている)であり、スペシャルティーコーヒーをSCAAメソッドにより科学的、化学的、物理的、体系的に勉強するためには非常に有益なものでありましたことを加筆させていただきます。 SCAA =アメリカスペシャルティーコーヒー協会
Qグレーダーリスト(JAPAN)