シェフ、マダムへ伝わりました!
すぐには気づかなかったのですが、先日営業をさせていただきましたあるお店のホームページを拝見させていただきましたところ、「新しいコーヒーの体験をした」というようなことが書かれてありました。
トップページではボダムさんのフレンチプレスのことまでご紹介いただいております。
こんな風に書いていただけるなんて、とても幸せです。
こちらのお店は10年くらい前になりますでしょうか、1度訪問させていただいたことがありました。そのときは、昔、仕事で何度か行ったニースの思い出の料理「スープ ド ポワソン(魚のスープ)」(魚のあらなどを裏ごししたシンプルなスープです)を食べに伺いました。
南仏(特に海岸沿い)では、この魚のスープは日本のお味噌汁のように、どちらのレストランでも出てきます。決まって、トーストされた硬いフランスパン、おろしていない生のニンニク、ルイユ(ニンニク風味のマヨネーズ?)などが添えられていて、ルイユを塗ったり、パンに生のニンニクをこすりつけ、一緒に食べるのです。
お店によってレシピに大きな違いはないと思うのですが、実際には微妙に味が異なり面白いのです。本当にお味噌汁のようですね!
現地のものは、ちょっと日本人にとっては塩気が強めなのですが、複雑で濃厚な味でとてもおいしい。多分、元々は雑魚や魚の捨てる部分をなんとかおいしく食べられるようにと考えられたものでしょう。
同じ南仏の代表的な料理であるブイヤベースのような華はないかもしれませんが、料理人の良心が詰まっている、もっと評価されるべきメニューの一つであると思っています。
本来はそんな気取らないスープですので、カニみそのように緑がかった、あまりおいしそうな色はしていません。全部裏ごししますので、具らしいものは何も入っていません。
お店によってはトロトロではなく、ドロドロと濃度があり、ちょっと魚くさかったり、裏ごしが甘いと骨がジャリジャリと当たることもあったりします。(現地のお店の話です)
が、食べるとこれが本当においしい。魚の荒骨なんかも全部入れてあるスープでしょうから、味はすごくいい。魚のエキスを食べている感じです。濃厚で、食前のスープというには惜しい料理です。
ただ、このまま日本のフランス料理のお店でこれをやろうとしますと、ワイルド過ぎて「商品として」成立させるのが難しそうな料理のように思います。
そういう意味で難しい料理を丁寧に、ハレの日の料理にふさわしいものにアレンジされて作られていたのが、こちらのお店でありました。10年前に食べさせていただきましたこちらのスープは今でも定番としてメニューに載っています。
洗練されたスープ ド ポワソンです。
シェフのご経歴をご覧いただければ理解できますが、フランス料理のクラシックとヌーベルを真面目に吸収された方だと思います。
少し漁師さんのような強面のシェフとその奥様とは思えない!?可愛らしいマダムと二人だけの小さなお店です。
伝統的な手法で、しっかりと作られた南仏料理を食べてみたい方は是非おすすめします。