大泉町 cafe ひびきや オープン!②
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cafe ひびきや オープン ①へ
さて、cafe ひびきや さんの2回目です。
まだ、オープンして3週間足らずなんですが、先日はお昼すぎに伺いましたところ平日にもかかわらず満卓。
ご自身で宣伝等はまだ何もされておりません。
まずは、順調にスタートを切られたようです。本当に良かった !
(現在のところ日によっては、特にお昼どき満席で入れないことがあるようです。ひびきやさんは予約が必要なお店ではありませんが、お昼前後に遠くからご訪問いただく場合は、直前でもご予約されることをオススメします。
ただし、ご予約をされたときのマナーとして、万障御繰り合わせの上、必ず伺っていただきますことをどうぞよろしくお願いいたします。
また、ひびきやさんは今のところランチタイムを設けず完売にならない限り、食事を通しでオーダーできます。ご都合が付く方は13:30以降などピークを外されますと比較的空いているかもしれません。勿論、お茶だけのご訪問もOKです。)
メニューの一つ一つが、一定のコンセプトに従って吟味されていることは基本だと思いますが、順調なスタートの理由はそれだけではないと思います。
弊店のテーマでもあるのですが、私は「ほんの少しの手間を惜しまなければ、あるいは考え方一つで豊かなくらしができる」と思っています。
cafe ひびきや さんのお料理はシンプルながら、かなりの手間がかかっていますね。
勿論、手間さえかければどんなものでもいいという訳ではありませんし、手間をかけること自体が目的ではありません。間違えてはいけないポイントです。
やはりここでも大切になるのはコンセプトになると思います。
それと、何より創業という一大事にあたっての覚悟ですね。
覚悟がなければ、途中でくじけずに、ここまでのことを彼女は多分できなかったのではないかと思います。
ただ 始めることだけなら、大抵の場合何とかできてしまうんです。
でも、商売は継続できなければ、自分自身にとっても、社会的にも殆ど意味はありません。にもかかわらず、多くの場合、飲食業で継続して繁盛させることは並大抵のことではありません。
特に直接接客をする形のお店は、コンテンツ 、引き出しがないと始めることはできても継続することが大変難しくなります。
そして、それらは「学校」などに通って短期間に身につけることはとても難しい。
ですから、こういったこと(独立、創業、開業などの一大事)にあたるにあっては、その方のそれまでの人生全てを賭けるという大げさな言い方になってしまいますが、きっとそういうことなんだと思います。
ノウハウなどというお勉強や知識ではなく、その人全てで勝負をするという感じです。
なぜ、ひびきやさんに可能性を感じたのか。理由は一つではありませんし、一言で言い尽くせる話でもありません。
お店の場所など決して、場所が良いところにある訳でもなく(むしろ分かりにくい)、かっこいいテナントに先端のデザイナーを起用した訳でもありません。
美味しいものを供するというのは、飲食業という商売としてなかば当然のことであって、それだけでうまくいくとも限りません。
ただ一つあえて具体的にあげるとするなら、食の経験を積むための多くの手間ひまを投じることを厭わなかった。ということででしょうか。
よほどの天才でもない限り、私自身も含め、多くの普通の人はこういった努力をすることが最低限必要だと感じています。
(本当は天才と言われる人ほど、才を伸ばすための想像を絶する努力の継続をしていることはよく知られているところです。)
しかし、一方で飲食業を始めようとされているのに、ここを経験するために色々なものを投じる覚悟をされない、いえ、投じる事に価値を感じない(行動しない)方さえ案外多いと感じています。
私は美味しいものを食べるのが大好きなんですが、素晴らしいと思えるレストランの殆ど全てと言ってもいいくらい、そういったお店のシェフあるいはオーナーは、ご自身が食べることに貪欲な方が多く、ご興味をお持ちで、食べ歩くことが大好きなんですね。
場合によっては、食べるために、目的のレストランを目指し、海外にまで出かけることもしばしばで、当然のように実行します。
現実問題として、飲食で経験を積むには時間とお金がそれなりにかかりますから、稼ぎの相当分をここに投じているはずです。
そして、そうやって外で感動した体験をベースに、自分の置かれている環境
(例えば、肉、野菜など素材は現地と同じものが手に入る訳ではありません。あるいは、三ツ星レストランの料理に感動したからといって、技術的には可能であっても、多くの場合、諸般の事情から同じものは出せません。)、
自分なりの解釈をし、消化・アレンジをし、インスパイアされた料理として取り込んでいく。
食べることに興味の薄い方が作り手では、お客としては最初のうちはよくても、継続してなかなか良い思いができないことが多いとも言えるかもしれません。
天才でない普通の人が、十分な経験も、準備も、練習もすることなしに、良いもの、カッコがいいもの?、さらには一流のもの??をお客様へご提供できるほど、どうやら飲食業は甘くはないようです。
こういったお話は、ちょっと考えれば当然のことなんですが、実際にはなかなか分かりにくいことなのかもしれません。
順調なスタートを切った ひびきやさんにとっても勿論例外ではありません。彼女には、食の経験とセンスを磨く努力の継続を期待するばかりです。
周辺スタッフの方々は心強い優秀な方たちで、私も自分の領域で出来る限りのバックアップはさせていただく所存ですが、あくまでそれらはバックアップに過ぎません。
いつでも、おやりになるのはご本人です。
大企業で組織が細分化され、高度に専門化している場合、部署によっては自社の製品やサービスに興味がなく、精通していなくても会社全体としてはビジネスとして成立することがあるかもしれませんが、零細個人事業の場合はそんなことはあり得ません。
代表者自らが自社商品の一番のスペシャリストであることが当然のように要求されます。
日本企業ではあまり例がないかもしれませんが、大企業にもかかわらずこういったことを実践してきたのがアップル社のスティーブ・ジョブス氏ではないでしょうか。
だからこそ、特に国内企業では考えられない、非常に付加価値が高くかつ、イノベーティブな製品(しかも、マスプロダクト)を世に送り続けることができたのだと思います。
アップル社の場合は、例外的に強い決裁権を持つトップ自らが、アーリーアダプターの特性を兼ね備えた希有なイノベーターだったのです。
*ライオンは七五三の特別仕様です。
ちょっと固い話になりました。
さて、カフェ ひびきや さんのお料理は家庭料理を基本とされております。
家庭料理がベースにあるのですが、化学調味料や業務用○○は使わずに、野菜中心の、しっかりと作り込んだ調理方法をとっています。
(化学調味料も業務用○○もなかった時代には、ごく普通の調理の方法だったと思うのですが、現代ではこういったお店は非常に貴重な存在です。また、こういったものを使わなければ、おいしいかと言えば、必ずしもそうならないことが問題をさらに複雑にしております。)
先日ご紹介させていただきました、成澤 文子さんのお料理とは同じ家庭料理でもコンセプトが少し異なるんですね。(私は密かにこの二人、機会があればコラボすると面白そうだなあと勝手に妄想しております。)
若い女性を中心に、少しお年を召されたご高齢な方でも負担なく食べることができると思います。
勿論、野菜好きな男性にもオススメです。
ランチタイムは設けずに、営業時間中通しで食事をオーダーすることができます。(ただし、仕込んだ素材がなくなれば売り切れ終了。2011年11月時点)
もちろん、お茶やケーキなどでのご利用も歓迎されていると思います。
ひびきや さんの「お食事についてくるコーヒーのカップ」には把っ手がありません。茶碗のような感じでお飲みいただくことになります。(コーヒーを単品注文の場合は、少し大振りの把っ手つきカップになります。)
お皿やカップ類はすべてオーナーである響子さんが好きな陶芸作家さんのものをお選びになりました。
あるとき、「コーヒーカップはこれを使いたいと思うんですが、どうでしょうか?」と相談を受けました。
最初は、この丸くない、把っ手なしの個性的なデザインのコーヒーカップを見たとき、「把っ手はあった方がいいかなあ」と心の中で思ったんです。
何故かといいますと、ひびきやさんのコーヒーは抽出にフレンチプレスをお使いいただいております。
スペシャルティコーヒーを使うことが前提のフレンチプレスの場合、抽出温度が非常に高いんですね。
ですから、お客様によっては、少しの間、手が熱い、持ちにくいというご不便があるかもしれません。
しかし、この熱いときに、簡単にのみ進めないことが、少し冷めたときの味わいが大切な(より一層楽しめる)スペシャルティコーヒーにとっては都合が良いんです。
そしてその結果として、お客様にとってのメリットになると考えましたので、あえて反対しませんでした。
そして何より、オーナーの響子さんが、「このカップで美味しいコーヒーをお客様に楽しんでもらいたい」という思いが伝わってきました。
ひびきや さんのお店の雰囲気、コンセプト、オーナーをはじめスタッフ皆さんのお店に対する思いを理解すれば、正解は一つではないのですね。
築70年の長屋アパートを1年と数ヶ月をかけ、ご家族、ご友人総出で、コツコツと改装され、今のカフェ ひびきや さんのかたちになりました。
内装の解体から、リフォームまで、水道工事など専門業者が必要な部分を除いてほとんど全てをご自分たちで作られました。
お父さんが手直しされた古い家具、おばあちゃんが使っていたミシン、オーナー自らが梁によじ上って塗った天井。
そうやってやっと出来上がったお店には、細部にまでオーナーをはじめ、ご家族、ご友人の心遣いが感じられます。
皆の気持ちが一つになり、色々なものを積み重ねた結果、
「ゆったりと、やさしい時間を過ごせるお店」になりました。
訪れた際には、メニューの後ろの方に綴じてある、改装の様子を是非ご覧いただきたいと思います。
皆さんにも、きっと、オーナーの響子さんの思いが伝わることでしょう。
cafe ひびきや さんに、明るく、さわやかな風がいつまでも吹きますように、祈っております。
cafe ひびきや
〒370-0517
tel: 0276-55-8859
営業時間: 11:00 〜 19:00
定休日: 毎週火曜日 第1、第3 水曜日