本来の素材の味!
お正月でもないのに、唐突にすじこのお話です。
お正月は両親の出身地である函館から魚をとるのですが、ここ数年、筋子の味が変わってしまったとずっと思っていました。
粒自体が小さく、赤味がまして(正確にいいますと、赤黒く)、少し苦いといいますかエグミがあるんですね。それ以前とは明らかに違うと思って、色々調べたところここ数年、筋子というとほとんどがマス子になってしまったことがわかってきました。
確かに、マスの卵であっても筋子には違いませんが、肝心の味が全くことなります。
2年くらい前に、函館の魚屋さんへ電話で確認したところ、「最近はみんなマス子になってしまったんです。昔の鮭子を知っている方には物足りないと思うんですが。。」とのことでした。
ネットで調べますと、鮭子を扱っているところはわずかにはあるようです。
そんな事情があって、数年間あきらめていたのですが、願っていればいつか叶うものなんですね、素晴らしい話が舞い込んできました。
私のコーヒーをお店でお使いいただいている、居酒屋さんの奥様が青森県出身でそちらにいい鮭子を扱っている魚屋さんがある、と。
思わず飛びつきました!「次の魚の仕入れのとき、一緒に鮭子をお願いします!」
ほどなく、大将から電話をいただきました。
「入ったよー、コーヒーもらいに行くついでにもってくよ。」
発泡スチロールに厳重に凍りづめされて、活ホタテまでおまけでいただいちゃいました。
いやー、久しぶりの鮭子だったからか、おいしかったですねー。加えて、塩加減が素晴らしくて、かなりの甘塩なんです。塩からくないんですね。勿論、変な苦み、エグミもない。
子供にも食べず嫌いににはなって欲しくないので、出来る限り本来の味のするものを食べてもらいたいんです。
最初を間違えちゃいますと、正しく伝えていけなくなっちゃうんですね。正しくどころか、間違ったものとして伝えられかねません。
「筋子って、苦くて、塩辛くておいしくない」
なんて思われちゃったら、筋子がかわいそうじゃないですか。
しかし、一番損をするのは、間違って認識してしまった本人です。
そういうことが今の世の中にはたくさんあるような気がします。
本来のものを食べる機会がなく、食べず嫌いになってしまう方がいかに多いか。
ほんの少しの好奇心と努力で良いものにあたることもあるんですが。
昔は手を伸ばせば、当たり前に口の中に入れられたものが、今は吟味を重ね、努力をしないと味わえないものがかなりあります。
人生一度きりですから、その素材の持つ本来の味を経験したいと改めて思いました。
*次はタラコを狙ってます。