東京スカイツリー!
先日、遅めの夏休みをいただきまして、家族3人で東京へ行ってきました。
2日目に息子念願の東京スカイツリーへ登りました。
WEBでチケット予約をしていきましたので、ほとんど待たずにエレベーターへ乗ることができました。
スカイツリーを間近でみますと、日本の設計技術、それを具体的な形にするものづくりの技術はまだまだ世界レベルにあると言って良いと思わせる迫力がありました。
仮に画までは書けたとしても、容易には現実のものにできないです。
五重塔を参考にした心柱を持つ制振構造、日本刀のそりをモチーフにした意匠設計、上層にいくほどに正三角形から真円に近づく異形断面構造など、技術だけでなくデザインコンセプトにも日本のカラーを用いています。
ただ何となく、高い鉄塔を作りましたというものでは全くないですね。
勿論、昼夜は味の見聞を深めるための食事三昧です。
2日目夜に伺いました、江戸情緒が残る下町のあるイタリアンで。
夏のイタリアンといえば、まずはガスパチョです。
イタリアでは家族の数だけガスパチョの味があると言われているように、味付けが各家庭、お店で異なります。
イタリアンのガスパチョ、フレンチのスープ・ド・ポワソン、そして日本のみそ汁などは同じメニューだったとしても、作り手の工夫次第でかなり違いが出る料理の一つだと思います。
個人的に夏のスープと言えばまず頭に浮かぶのはコート・ドールの梅と紫蘇のスープです。突き抜ける酸味、さわやかさは鮮烈で、くっきりとしたコントラストで脳髄に深く印象を残すものです。
最高のフランス料理店にあってなお、日本人の感性で、シェフにしか絶対に作ることができないアイディアのもとに完成されている梅と紫蘇のスープです。
こちらのガスパチョは、味わいそのものは淡く、優しく、あらびきの濃厚な野菜ジュースという感じで素晴らしかったです。
ワインは、野菜、魚中心にメニューを組み立てようと考えておりましたので、喉を潤すためにも樽をあまり効かせていないスッキリした、爽やかさで果実感のある白にしていただきました。
ランチなどでは気軽にグラスワインも良いのですが、予約で2ヶ月、3ヶ月待ちで常に営業時間中100%回転しているようなお店以外では、少し無理をしてもボトルで頼んだ方が結果は良いことが多いです。
勿論、一部のお店では素晴らしいグラスワインをご提供しているところもありますし、グラスワイン デキュスタシオンのように、その日の皿(料理)に合わせたグラスワイン4、5種類をソムリエがあらかじめチョイスし、セットで提供するという工夫するところも増えてきました。
なかなか難しいグラスワインではありますが、一般的には置かない訳にもいかないですし、ワインによって、抜栓してからの寿命は千差万別ですので、レストランを経営されておられる方々は大変苦労されているところだと思います。
また、前菜、メイン、デザートはゆうに及ばす、グラスワイン、バゲット(フォカッチャ)、食後のコーヒー、エスプレッソなど脇役のクオリティで、そのレストランのお客様に対する考え方が如実に現れると思っている外食好きの方も少なくはありませんので、気を抜くことなどできません。
野菜のテリーヌ ゼリー寄せです。見た目もモザイクのようで美しいです。
さんまのコンフィです。
コンフィというのは、低温のオイルでゆっくり煮ていく火の入れ方なんですが、いいですね。
良い具合に水分がぬけ、旨味が凝縮してます。ちょっとした熟成感といいますか、ナレ感もあります。
同じく油で火を入れる天ぷら(衣をつけ、高温の油で、短時間)とは全く異なる考え方の調理法ですね。
コンフィは元々は鮨などと同様に(こちらは火は使わない)、保存を意識した調理法であるのですが、きちんとおいしくなっているというところが重要です。
秋刀魚の食べ方としては、シンプルな塩焼きや刺身も勿論良いのですが、日本人の英知を傾けた干物の技法が大変優れていて、味も素晴らしいと思っているのですが、コンフィも干物とは違った意味で秋刀魚のおいしい食べ方の一つだと思います。
なすとヤリイカ。
ピリ辛です。こういった火を通すイカの料理もその場で皮むきし調理てくれるので、新鮮なイカのプリプリした食感も楽しめます。ピリ辛です。
牛ほほ肉のビール煮です。
ビールのほろ苦さがたまりません。
あとサルシッシャ(イタリア料理のソーセージ)も食べたのですが、写真を撮り忘れました。
勿論、一からシェフがていねいに仕込むサルシッシャで、塩加減もバッチリ、ジューシーで美味しかったです。
そして、最後にドルチェ、桃とガレットです。
注文してからガレットを焼いてくれます。純良なバターの香りがたっぷりでした。
カウンターだけのイタリア料理店だったのですが、子供OKでありがたかったです。
そう簡単ではないのですが、かなり探せばきちんとした料理屋さんでも受け入れてくれるところも少数ながらありますね。
(しかし、いくら子供OKだと言っても、当然ですが、どんな振る舞いをさせても良いという訳ではございません。他のお客様が不快にならないよう、100%親の責任でコントロールするという条件付きです。)
食に限らず、基本的には大人の社交場に子供は安易に入るベカラズというポリシーではありますし、大人の世界との一線を引き、それを教えることもまた大切なことであります。
しかし、あえて申せばきちんとした料理店での食事は味そのものだけでない、教育や体験の場として色々なものが詰まっています。
味のことを言えば、子供の舌は経験が少ないので客観的な評価はできません。
小さい子供が食べる度に日々行っているのは、究極の絶対評価です。
ですから、よく言われるように「子供に味は分からない」とはある意味で的を射ています。
確かにどのくらい美味しいものなのかは、食の経験と個人の嗜好、感性によって時間をかけて組み立てられていくものです。
年齢による嗜好の変化ということも起きてきますね。
しかし、経験がない分、味覚というキャンバスは真っ白であり、非常に鋭い感性をもって記憶にとどめる可能性があります。味だけではなく、そこでの色々な体験すべてをです。
逆に、経験を重ねたのち、何十年も経ってから、あのときに食べた、○○という料理は大変素晴らしいものだったのではないかと気づくことがあるくらいです。
そして、真っ白なキャンバスを持っての体験、これは先入観が存在しない子供だけの特権です。
大人になるに従い、否応がなしに経験も増え、客観性を得ることと引き換えに、その分先入観という色でキャンバスが濁ることから逃れることはできません。
ですから、いつもはこんな贅沢なものばかりは無理なんですが、たまにはきちんと調理されたものをきちんとした料理屋さんで一緒に食べさせていただくことも良いのではないかと考えております。
小さな子供を受け入れていただくお店としては、色々な意味で気をつかわせてしまいますし、子供にとっては少し窮屈かもしれません。
が、実体験から強くそう思うのです。
ま、最後はいつもこうなっちゃうんですけどね。。