一緒に大きくなっていく②
さて、話が大きく音楽の方へそれてしまいました。
達郎さんがそのラジオで、食に関する質問をされていたとき、パーソナリティーの方から、どんなお店に普段行くのですか?といったところから、寿司屋さんの話になりました。
達郎さんは、
「私にも、料理といいますか、食に関する先生が何人かおりまして、寿司屋というとちょっと高級な寿司屋で、ということになると思うんですが、その先生曰く、
若造がそんなところに行ってもマトモに相手をしてくれる訳がないし、かっこいいものではない。
そうではなくて、寿司屋というのは、一緒に大きくなっていくものなんだよ。
要するに、身の丈に合った若い板前、開業間もないような寿司屋へ行って、そこの常連になって、あなたが出世していくのと同じようにお店も大きくなっていく。それがいいんだ、と。それで、そんな風に実践してきたんですね。」
おおよそ、こんなことをおしゃっていました。
私のお店の重要な部分の一つですが、ご家庭でご利用のお客様に加えてレストラン、カフェなどの方に対するコーヒー豆の販売がございます。
その場合、単純に豆を販売して終わりということは少なくて、お客様のお店の形態やシチュエーションなど、それぞれに合わせ、様々なご相談を受けることもございます。
「一緒に大きくなっていく」
私のお客様であるレストランやカフェの方々に対して、同じ思いなんです。
当然のことですが、そういった方々がお客様から支持を受け、共感され、伸びていかれれば、弊店に対する注文だって自然と増えるんですね。
営業させていただいて実感しています。
そして、同じように店頭でお買い上げいただいたり、通販で遠くからご注文をしていただいたりと私のお店を支えてくださっているお客様がいらっしゃいます。
なんだ商売のことかと思われるかもしれませんが、レストラン、カフェなど飲食店といいいますのはかなり上手く商売が回っていませんと、継続していくことすらままならないんです。
趣味でいいというなら前提が変わってきますが、例えば、そこそこだったサラリーマン時代と同じような給料を稼ぐとなれば、個人経営の飲食店にとっては、これはもう大成功の部類に入らないと難しいと思って間違いないです。
私が飲食店経営の特別な知識を持っている訳ではありません。席数と回転率、客単価から家賃や仕入れ、人件費、借入金、光熱費などの費用を引けばどなたでも簡単に理解できるとてもシンプルな事実です。
なんだか夢がなくなっちゃいますね。
勿論、お金だけじゃないんですが、少なくとも最低ラインをクリアしなければ継続できません。
皆さん事業を始めるとき、創業される環境は様々ですが、お金がたっぷりあって、使い道に困っているので、飲食店を始めたという方はあまり見たことがありません。
特にいわゆる脱サラをされる方は、大きな立派な船から、オールしかないような小舟に乗り換え、時化の大海にたった一人で漕ぎ出すようなものですので、その不安は人生最大級のものになるはずです。
自分自身がそうだったので、よく分かるんです。
ですから、私はこういった方たちには、自分自身のことを棚にあげ、遠慮なく辛口です。
そして、その中にあるものは、ノウハウなどというかっこいいものは一つとしてなくて、すべて自分の失敗や悔いなんですね。
お客様になっていただくかもしれないからといって、手もみをしながら、笑顔で、おだやかになんて私にはできません。
ことは一大事なんです。どうかそのことを分かっていただきたいし、できれば共有したい。
なけなしのお金で、ご家族もあり、場合によっては、周囲の理解が得られず四面楚歌だったり、様々なご事情がある中、かかえきれないほどのリスクを承知で始められるのですから、何とかして、成功といいますか、できることなら楽しく、長く続けていただきたいと心から願っています。
人様のことを心配するなど本当に僭越ですし、自分がそんな立場にないことは十分承知しているつもりですが、心から願っています。
一緒に大きくなっていく①へ