一緒に大きくなっていく①
3日間夏休みをいただきまたが、本日より通常通り営業いたします。
さて、ここでいいます「大きくなっていく」とは、必ずしも商売で成功してお金持ちになるという意味ではありません。
先日、クルマを運転しながらラジオを聞いておりましたところ山下達郎さんがゲスト出演されていました。
私の小学校、中学、高校時代はいわゆるフォークから、ニューミュージックとJpopが形づくられて行く最中にありまして、アリス、オフコース、山下達郎、サザンオールスターズ、ユーミンなどなどの音楽を聞いて育った世代です。
高校のときには、コピーバンドなんかもやったりしてましたね。オフコースなどは、コードが難解で素人には手に負えないところもありましたが。ギターパートだとしても、聞いた事もない難しいコードがたくさん出てくるものですから、タブ譜かアンチョコをみないと弾けません。
勿論夏はサザンは外せませんが、小田和正さんと山下達郎さんはさらにその中でもよく聞きます。
ビッグネームを並べてしまうと、それぞれのファンの方から色々言われてしまいそうですが、気にせず独断を書かせていただこうと思います。
私からみますと、お二人とも、歌手とか芸能人というよりも、職人といった捉え方の方がより近いのではないかと思っています。
サザンの桑田さんもレコーディングの際はかなりストイックだと聞いたことがあります。
例えば達郎さんは、今でも、音響的、視覚的に無理があると東京ドームや武道館(例外的にゲスト出演したことはある)など、バカでかい会場ではライブを行わなかったり、ワイヤレスのボーカルマイクを使わなかったり。
ですから、達郎さんの東京のライブの拠点は古典的とも思える中野サンプラザです。大きさもほどほどですし、きっとチーム山下として、音響的なノウハウがすでに完成されているのでしょう。
でもこういうことは、今の音楽業界では例外中の例外と分かっていても、多分ご本人は特別なことだとはきっと思っていないですね。ごく当たり前のことだと思ってやっておられると思います。
経済効率も全く悪いですね。東京ドームで1日ライブやれば、中野サンプラザの約15回分です。
(達郎さんがインタービューで、23回分をおっしゃっていました。訂正させていただきます。)
今の達郎さんでしたら、こういった大きな会場で何日も満員にできると思いますが、徹頭徹尾やりません。
こういったことに屈せずに実行している完全に音楽を作る職人だと思います。
とにかく、音楽に対するコンセプトが明快であり、スタンスが不変です。ブレない。何のために、どうするのかということが、ただ一点に向けて貫かれているという印象を受けます。
言い方を変えるなら、目的や理想のために、妥協をほとんどしないということです。
こういった方を世間一般では、頑固というのかもしれません。
きっと、今までこういったことを貫くにあたり、周りから疎まれたこともあったのでしょう。(ご本人も、人並みに修羅場をくぐってきた、かなり過激に戦ってきたとおっしゃっていますね。)
小田和正さんも同じですね。オフコース時代から、コマーシャル、マーケティング最優先の企画にことごとく従わなかったことを吐露しておられます。
小田さんは還暦を過ぎて、大分丸くなってきた感じがします。
しょうがないんですね、主流派じゃないんですから。特に日本のように、均一思考という実質的には共産的な思考価値の強い国ではこういった方が第一線で生き残っていくのは奇跡的なことなのかもしれません。
音楽以前に、音そのものというところに目を向けても、半端でない作り込みがみてとれます。
山下達郎さんは、音そのものに倍音を多く含んだ厚みがある音(多重録音という意味でなく)が特長ですし、小田和正さんはクリアでぬけの良い音作りをされているように思います。
もっとも、10年くらい前までのアナログ時代と違い、現在はデジタルのレコーディングシステムが前提ですから、音作りそのものが全く違ってきているのでしょう。
メロディーが、歌詞がという以前に、彼らの音の粒一つ一つがキラキラと輝いていて、純度が非常に高いように聞こえます。
最近一般的なダウンロードして聞くデジタルオーディオなどでも、あまりレートの低いビット数などでの再生は実力が発揮しきれずモッタイナイ感じがいたします。
作り込んで行くと、純度が高くなり、音質の傾向にもはっきりとした個性が現れる。味の世界と全く同じですね。
こうみえて、昔ハイエンドオーディオの業界にも少し関わっていたことがございまして、音には結構うるさいんです。嘘じゃありません。(笑)
期せずして、震災直後にお二人ともめったにリリースがない(これまた偶然でしょうけれど、お二人とも6年ぶりだそうです)アルバムを発売されました。
小田和正さんは「どーも」、山下達郎さんは「Ray Of Hope」です。(Ray Of Hopeは、初回限定版として、7曲も入ったライブ音源盤がアドオンされますので、少し高いですが初回限定盤がオススメです。)
「どーも」はすでに震災前にレコーディングが終わっていたようで、そのままリリースされたようです。(まるで、震災を予想していたような雰囲気には驚きましたが)
一方、「Ray Of Hope」は制作中に震災があり、タイトル、歌詞、メロディーを少しチューニングされたようです。
しかし、いづれのアルバムも、半端なことはしていないという出来映えといいますか、作り込みですね。
一緒に大きくなっていく②へ続きます