スペシャルティコーヒー豆素材買付けの帰路の途中、ニューヨークへ立ち寄りました ②
*この記事内容は、2016年11月初旬に訪れたニューヨークでのお話です。
さて、ニューヨークの後半です。
トランジットで一日立ち寄るだけなのですが、時間は有効に使わなければなりません。
ニューヨーク市と言ってもかなり広いので、場所を限定して回るようにしたのですが、今回はマンハッタンが中心になります。
地下鉄を使いながら、だいぶ歩きましたのでのどが乾いてきました。
今回のニューヨークで、行きたいリストの一つにはいっておりましたビアバーに行きます。
ただのビアバーではありません。創業したのは1854年!創業160年くらいのお店になります。
こちらのお店は自社製のビール、ストロングとライトの2種類だけのビアバーです。
160年以上も継続していて、しかもウリのビールは二種類だけ。
いったいどんなお店なのでしょうか。
色の濃いほうがストロングです。ストロングは、色の濃さからスタウトビールの味を想像するのですがさにあらず、それほど苦味や重さがあるビールではありません。
2つのビールともに、ものすごい際立った個性があるビールではありません。
しかし、ビールの味としての完成度、バランスは非常に高いと思います。
ジョッキも小ジョッキ〜中ジョッキの間くらいの小さめのサイズに入ってきますので、2種一度に注文して飲み比べるのがおすすめです。
ふるきよきアメリカを象徴するようなお店です。
雰囲気もいいですね、こういった本物感はアンティーク家具だけではなかなか難しくて、年月だけが作りうるものなのかもしれません。
かつて夢を見て、この地に降り立ったニューヨーカーがビールを片手に談義をしている姿がモノクロ写真で蘇ってくる感覚がしました。
当時からおいてあると思われる石炭?ストーブもありました。
改めて、ニューヨークの歴史を感じつつ店を後にしました。
そして、グランドセントラルステーションにも来てみました。
こちらもニューヨークを象徴する場所の一つですね。
石造りの大空間は、ヨーロッパにある博物館、美術館のような独特な雰囲気を醸し出しています。
下の写真は機能としてはどこにでもある駅のインフォメーション(案内所)、切符売り場の窓口なのですが、建物のデザインでこうも雰囲気が変わるのかという良い見本だと思います。
ここの地下にあるオイスターバーがおいしいとの評判を得ておりましたので立ち寄ってみたのですが、日曜日のため残念ながらお休みでした。
ここはまた、次回にでも。
グランドセントラルステーションに、アップルストアがあるというのもまたアメリカらしいといえばらしいですね。
歴史ある建築物と最新鋭のデザインを取り入れたアップルストア。
この対比がとても興味深く、そしてそれが分離することなく完全に溶け込んでいて素晴らしいと思いました。
そして、真打ちカッツ デリカテッセンです。
まさにアメリカを絵に書いたようなお店。
私はことさらアメリカ好きというわけではないのですが、他国の文化や多様性、特長をリスペクトするという考えには基本的には賛同します。
お店の形態などは、もしかしたら後に現れるファーストフードのフランチャイズビジネスが参考にした可能性があると思いましたが、肝心の商品の作り込み、仕上がりは全くの別物であり、次元が異なります。
こちらも1888年創業の老舗です。
店内は、映画「恋人たちの予感」のロケにも使われました。
ロケに使われた席を示す矢印看板が天井からぶら下がっていますのが、お分かりになりますでしょうか。
10年前に来たときも同じようでしたので、常にお客様でこのように満杯のようです。
もちろん、10年程度の年月はこちらのお店の歴史からすれば、昨日のようなものでしょうから、少なくとも見た目は何一つ変わっていませんでした。
こちらのお店のオーダーの仕方は変わっています。
入り口でチケットを受取り(地下鉄のゲートのようになってます)、それを注文(ここで作ってくれます)カウンターへ行きオーダー。
出来上がった料理と引き換えに、チケットに注文した料理を書いてくれます。
食べたあとに、チケットを出口で見せることで精算するというしくみです。
こちらで有名なのは、何と言ってもパストラミサンド。
CUTTERと書いてあるカウンターに行き、注文します。(肉を切るからカッターでしょうか)
下の写真はCUTTERのカウンターに向かって注文を待つ人たちです。
まず、注文する商品を言い(パストラミサンド)、次に持ち帰りか店内かと聞かれますので、店内で食べたいことを告げ、さらにマスタードをつけていいかと聞かれるので、それもお願いしますといいました。
すると、「儀式」として必ず見本のパストラミを少し(と言っても、なかなかの大きさ)切ってお皿に載せてくれます。
パストラミサンドができるまで注文からほんの1,2分もかからないくらいなのですが、見本をつまんで待っててねという感じでしょうか。
このサンプルパストラミ肉?を食べるとわかるのですが、ぷるぷるで塩味や色々なスパイスを感じとても美味しい。
火がきちんと入っているのですが、ぷるぷるの食感です。
こちらのCUTTERと2言、3言の会話で注文します。
ものすごい手際の良さと速さです。
あっという間に一人分の肉を切り分けてくれます。
パストラミといいますと日本では冷製のものが多いのですが、こちらのものは温かいまま供されます。
でかい塊のまま加工されていることが分かります。
塊から、注文があってからすべてスライスされます。
そうした方が旨いのは、肉も魚も一緒ですね。
そして、そのボリュームが半端ではありません。
サンドイッチと言っても、パンは申し訳程度に薄いパンで挟まれていますが、見てください。
パンもなかなかうまいパンなんですが。
どうやって食べるのかわからないような風体をしています。
肉を食べるためのサンドイッチでありまして、一般的に私達が想像するサンドイッチとはかなり異なります。
平均的な日本人のお腹具合でしたら、半分でも多いくらいです。
健康志向の考え方とは、まるで真逆を行くようなコンセプト。
ボリュームが大きいだけならそれほど驚きませんが、その肉質、パストラミならではの味わいなどサンドウィッチとしての完成度が非常に高いことが素晴らしいです。
要するに、旨いんです。
これ以上の説明が必要でしょうか。
欧米人の食肉に関する歴史は、日本人のそれと比較しても相当なアドバンテージがあるのではないかと思わせるくらいの味と肉に関する知恵が詰まっていると思わせます。(日本で本格的に牛肉が食べられるようになりましたのは、江戸末期、明治くらいからと言われています。)
パストラミサンドをジャンクフードなどと馬鹿にしてはいけないと思いました。
付け合せに付いてくるピクルスもまた美味。
肉の脂をピクルスの爽やかさが洗ってくれて、素晴らしい口直しになります。
カッツ・デリカテッセンはこれだけ流行っていて、しかも120年の歴史があるのにもかかわらずニューヨークのこの場所だけになぜか一店舗しかありません。(さきほどのビアバーもマンハッタンに一軒しかないと思います。)
普通なら多店舗展開しそうなのですが、何かお店にお考えがありそうです。
大満足のカッツを後にし、もういい時間になってきましたのでホテルに戻ります。
本当は、ブルックリン地区やMOMA、ピータールーガーステーキハウスなど行きたいと思っていたところはまだまだあったのですが、今回は時間切れです。また次回に。
ふたたびUBERでタクシーを呼び、ホテルに戻りました。
日ももうとっぷりと暮れています。
シャワーを浴びて、出発の準備、荷物のパッキングをしてからホテルのバーに来てみました。
ブルームーン ビールを片手に一人で乾杯。
コロナビールにはライムが付いてくることがありますが、このブルームーンにはオレンジが添えられるのが習わしです。
早朝、ホテルのシャトルバスに乗り、ニューアーク国際空港へ。
ユナイテッドのカウンターでチェックインを済ませ、飛行機に乗ります。
成田までは約11時間のロングフライトです。
*facebook mapより
しかし今回は長い旅でした。ボリビア大統領カップに始まり、カップ・オブ・エクセレンス ブラジル。その後連続してブラジル バイーアでのコーヒー素材買付け。そして、トランジットでニューヨークに一日ですが立ち寄りました。
成田空港からは、いつもどおりバスで帰ってきました。
明日から営業ですので、早朝には焙煎が待っています。
今年も皆さんに素晴らしいコーヒーを飲んでいただけますように努力して参ります。
なにとぞよろしくお願い申しあげます。
しばらくしましたら、ボリビア、ブラジル、ニューヨークと写真を整理しフォトギャラリーにアップデートさせていただきます。
その節には是非ご高覧ください。