アッサンブラージュとは ②
今日から再びアッサンブラージュの続きをお話させていただこうと思います。
直接のヒントとなりましたのは、開業する2、3年くらい前でしょうか、以前住んでいた熊谷市という日本で一番暑い(熱い?)町のあるワインバーでのこと。
当時のこちらのソムリエKさんが紹介してくれましたグラスワインで、山梨のシャトー酒折というワイナリーのマスカットベリーAにまつわる話です。
何の事か?と思われるのも当然です。
マスカットベリーAといえば、日本固有の赤ワインのぶどう品種ですが、ボディが細く、酸ばかりが際立っていることが多く、それまではあまり良い印象はなかったのですが、このワインは少し違っていました。
決して高いワインではありません。テーブルワインの価格帯のワインです。
こちらの品種としては、ぶどうの作り自体もしっかりとしていたと思うのですが、新樽の使い方が絶妙で、やはりふくよかなボディが出ないマスカットベリーAという品種をまるでいたわるかのようなバランスの良さだったのです。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、ブルゴーニュと間違えちゃうかのような感覚もございました。
*私が飲んだのは2000年、2001年、2002年ビンテージのものでして、最近のものがどういう品質になっているのかは不明です。
マスカットベリーAや甲州(甲州は日本固有の白ワイン用品種)は日本のテロワール(気候、土壌など)を反映してか、品種の個性なのかボディに厚みが出ることはほとんどありません。
ですが、厚みが出ないのは必ずしも悪いことではなく、それが「個性」であり、「特長」なんですね。
このようなワインにこそ合う料理、合わせられない料理やシチュエーションというものもある訳でして、ボディに厚みがないことは決して優劣ではないんです。
しかし、こういったワインに、新樽を効かせすぎてしまいますと何とも、バランスの悪い、樽香ばかりが目立つものになってしまい、わざとらしい、いかにも「狙った」という味になってしまうことが多い。
こういうワインが高い価格帯に意外と多いんですね。
私は樽香(特に新樽)は決して嫌いではないのですが、バランスが悪いものは難しいですね。
そして、そうこうするうちにソムリエ氏がシャトー酒折現地にいき醸造所を見て来るというのです。
そして、帰ってこられたあとに、お店に伺ったところ、何とあのバランス感の秘密の一つは「アッサンブラージュ」にあったというのです。
簡単にいいますと、同一ヴィンテージの新樽、ステンレスタンクで仕込まれたものをアッサンブラージュするということなのですが、その比率が絶妙なのだと。(実際には2種類ではなく、それぞれに何種類もロットがあるのでかなり複雑な作業になる。)
そしてソムリエ氏もアッサンブラージュ体験をしてきたというのです。
ソムリエ氏の奥様もワイン関係のお仕事をされてきた方ですが、その奥様がアッサンブラージュしたものが抜群に良いできで、醸造家も気に入り、レシピをいただこうかと冗談のような本気を話をされていたそうです。
まさに1+1=3(どこかのスパークリングのラベルでみた)のコンセプトです。