ブラジル バイーアでのコーヒー素材買付の旅 ①
あけましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
弊店は1月5日より新年の営業スタートさせていただきました。
さて、前回のブログの続きになります。
サンパウロ近郊のジャカレジーニョで開催されたカップ・オブ・エクセレンス ブラジル 2016 国際品評会を終えた後、バイーア州での素材買付に入りました。
ブラジルは非常に広大な国土を持っておりますので、国内を移動するだけでもちょっとした海外旅行並みの距離になってしまいますが、特に品質の高いコーヒーを取れるエリアはどこにでもあるわけではありませんので、距離や手間とは関係なく、必然としてそこを目指すということになります。
バイーアのコーヒーはここ数年カップ・オブ・エクセレンスでも注目され、今回の品評会でも多くの農園が入賞していました。
バイーアで収穫されるスペシャルティコーヒーは、クリーンかつフルーティーな感覚が特徴なのですが、生豆の密度が非常に高いのが特徴でして上手にローストするには、なかなか手強いコーヒーです。
場所的にもアクセスが良いとはいえませんので、訪れるのは大変な場所です。
まずは、カップ・オブ・エクセレンスの会場最寄りのロンドリーナ空港からサンパウロ国際空港に戻り、さらに国内線でバイーア州の玄関ヴィットリア空港まで移動。
そこからさらに車で5時間くらいかけ、まずはムクゲという街に入ります。
まずはプログレッソという大規模な農園を訪れました。
高品質なコーヒーを作るには細かい管理や工程をいくつも通さないといけないので、基本的には大規模な農園の体制とは相容れない部分があります。
しかし、プログレッソはスペシャルティコーヒー専用の生産区画や生産処理設備などを備えることによって、大規模な農園であって、その生産量のごく一部に限りスペシャルティコーヒーを作っているという珍しい農園です。
いかに大農園であったとしても、スペシャルティの品質に持っていくのはたやすいことではなく、やはり生産量は限られたものにならざるを得ません。
この辺りが良し悪しではないのですが、いわゆる一般的な大量生産の工業製品とは異なるところです。
マスプロダクトの場合は、一定の商品企画、開発期間を経て(ここがものすごく大変で膨大と思いますし、マスプロダクトの要ともいえる部分ですね)一定の品質内で実現可能と判断され、承認された図面の公差、仕様の範囲でクオリティが保証されたものが一定の設備投資により、大量に生産可能です。
スマートフォンや自動車、家電製品など、現代において私たちの身の回りにある製品の多くがこういったプロセスで作られるマスプロダクトでしょう。
しかし、スペシャルティコーヒーのように不確定要素の多い農産物であり、かつ高品質なものとなると、こういったマスプロダクトの論理を当てはめることには自ずと限界があるというところです。
品質を極めるほどに管理を厳密しなければならないため、生産区画、面積は限られ、生産処理設備も専用のもの、セッティングが必要になったりと大量生産には向かないといいますか、相反することだらけになってきます。
もちろんそういったことは、すべからくコストに関わってくることでもあります。
以上の理由から、スペシャルティの価値を正しく判断していただくには、マスプロダクトを見る目とは少し異なる視点でみていただく必要があるかもしれません。
大規模農園らしく、立派なカッピングルームも設えてありましてそこでカッピングさせていただきました。
こちらの写真は、ピボットと呼ばれる灌漑設備です。
ところどころにタイヤが付いており、数百メートルに及ぶアームが円形にゆっくり回転しながら、水や施肥をします。
基本的に平らで、広大な規模の農園でないと採用できません。
この区画はスペシャルティコーヒー用ではありませんが、ご参考まで。
今はワイン造りにも挑戦を始めています。
将来はワイナリーにホテルを作りたいそうです。
ワインの試作品を飲ませていただきました。
飲ませていただいたセパージュはソーヴィニヨンブランですが、他にもシャルドネ、セミオン、カベルネソービニオン、マルベック、ピノ・ノワールなどなどメジャーな品種はすべて作られていました。
現在は幅広く様々な品種を栽培してみて、この土地にどの品種が合っているのか試行錯誤しているようでした。
今日は、ムクゲの街で宿泊します。
石畳で低層の建物しかない、味わいのある街です。(昨年もきました)
プログレッソの農園主ファビアーノさんの招きで、ディナーをご馳走になりました。
ピザと地元で作られたクラフトビールです。
次回は、同じバイーア州なのですが、タデウ農園やオーロベルデ農園で有名なピアタン地区をまわります。