スペシャルティコーヒーとは ①(味覚品質のポジション:図)
以下の図は、コーヒーをスペシャルティコーヒー、プレミアムコーヒー、コマーシャルコーヒーの3つのグレードに区分けした場合のピラミッド図(イメージ)です。
これらをさらに細分化した図も表現可能ですが、あえてシンプルに簡略化させていただきました。
(*弊店でご提供させていただいているコーヒー豆の素材は、下限を概ねCOE Cupping Formで概ね84点-85点越えるTOP Specialtyを目標にしております。ときに90点を越える希有なものの入荷もございます。点数だけで判断する訳ではないのですが、目安です。)
スペシャルティコーヒーとはカテゴライズされたグレードの頂点に立つ、素晴らしい、印象的な味覚を持ったコーヒーです。
しかしながら、スペシャルティコーヒーは現時点で法律的な認可が必要なものではありません。
別途、認証コーヒーというものは複数存在しますが、必ずしも味覚が基準になってはいないようです。
例えばシャンパンは、大雑把に言いますと「フランス シャンパーニュ地方で、シャンパーニュ方式で作られた発泡性ワイン」という風にフランスのワイン法で規定されています。
ですから、これに当てはまらない発泡性ワインはシャンパンを呼称できず、一般的にスパークリングワインとして括られます。
たとえ、シャンパーニュ方式で作られた発泡性ワインであったとしても、フランス シャンパーニュ地方が原産でないものは、スパークリングワインの呼称をしなければなりません。
勿論、味はスパークリングワインでもシャンパンに負けない、あるいは勝るものが数多く存在しています。
スペシャルティコーヒーにはそういう法的な規定はありません。
ありませんが、現地のカッパー、買い付け担当者、そして我々ロースターが厳しくカッピング/テイスティングします。
よって、呼称ではなく、お客様の口の上に乗った瞬間、時間経過とともに冷めていったときの味の変化などが「おいしい」かどうかの味覚的品質が全てのコーヒーです。
あるいはユニークなフレーバーがあるかどうか、感動的な味わいがあるかが重要です。
そういったコーヒーに出会えたとき、振り返ってみますと「From Seed to Cup」がいかに大切か、それがないと良いものにならないということが理解できます。
「カップオブエクセレンスなどのオークションや○○農園、○○品種、○○精製といったことをウリにして価格をつり上げている」など、言われる方がいらっしゃいますが、これは全くの誤解です。
上述が指定されたものでありましても、あくまでもカップクオリティが基準に達していなければ、スペシャルティコーヒーとは言えないのです。
オークションの構造からしますと、信頼のおける審査員が、精度の高いテイスティングをして、順位を決めて国際的なインターネット公開入札をしていきます。よって、価格と味わいのバランスは高いレベルで実現されているのが一般的です。(好みに合うかどうかは、また別の問題です。)
要するに、スペシャルティコーヒーの場合、結果としてほとんどのケースで、より念入りな生産処理工程を経ていたり、テロワール的なものが絞り込まれたものになってくるというのが事実だと思います。
必ずしも(特殊な例を除いて)、農園名や品種ありきではないのです。
むしろ、価格に関していえることはワインなどと比較しますと、良いものも、普通のものも、そうでないものも非常に狭い価格帯に分布しているのが今のコーヒーの現状です。
勿論、まだワインほど品種、味、テロワール、価格の体系化が進んでおりませんので、これは当然のことなのかもしれません。
また、これらの体系化がなされていくとしても、ワインと全くの同一なものになっていくことが、コーヒーにとって適性なものかは色々と議論の余地がありそうです。(ワインはアルコール飲料ですし、同一に比較することは無理を承知の上です。)
「もっと、おいしいコーヒーが飲みたい」「継続して、いつも良いものが欲しい」と望むことは、先進国の消費者としてごく当たり前のことなのですが、生産者の立場になれば、より適正な利益還元がなされなければ、継続して良いものを作っていただくことは難しいでしょう。
生産者もまた我々と同じ人間なのです。(ご参考動画:コーヒーの真実(予告編))
やはり、” From Seed to Cup “が大切だということですね。
スペシャルティコーヒーはコストではなく、品質を追求していく、ユーザー本位のコーヒーです。(しかし、殆どの場合、そういうコーヒーはお買い得感、価値が高く、Value for Money が高いと言えると思います。)
*下記階層ピラミッドにつきましては、分かりやすいようにイメージを単純化した目安でありまして絶対的、法的基準はではありません。SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)やSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)などでは独自に階層を細かく定めています。
SCAAの方では2008年11月にスペシャルティグレードをさらに細分化、同時にプレミアムグレードを再定義したようです。
現在(2014年)の流れは、年々高まる品質、生産処理の多様化などから、スペシャルティグレードを細分化するようになってきております。3段階では、いくらわかりやすくといえどもかなり大雑把になってきましたので、作図し直しまして、後日アップデートさせていただきます。
階層ピラミッドについての2009年1月時点での個人的な見解はこちらをどうぞ。