アッサンブラージュとは ①
さて、今日からは少し趣向を変えまして、ワインのブレンドに関するお話です。
私はワインも大好きでよく飲むのですが(普段はテーブルワイン専門です)、ワインの専門家やワイン好きの方によくご指摘を受けるのが、
「何でコーヒーって、何でも(国を越えて、色々な生産国のものを)混ぜちゃうの?」
「そんなにスペシャルティコーヒーというのが、産地や地域特性などの個性が出るというなら、混ぜちゃうのはもったいないなあ」
ということがありました。
これは私自身も今のビジネスを始める前、今から5、6年前くらいからでしょうか、コーヒーの勉強を始めさせていただいたときから、スペシャルティコーヒーに出会ってからずっと違和感を感じてきたことです。
開業前にアメリカ視察に行った際、シングルオリジン(単一生産国/ブレンドしない)しか扱わないterroir coffee company のジョージ・ハウエル氏との鮮烈な出会いもありました。
しかし、通常のブレンドにもブレンドの面白さ、深さがあり、これを否定するものではありません。
特に日本は諸事情から、オリジナルのブレンドをお店の顔?として販売されることが多かったように思います。
きちんとした素材を使い、きちんとローストされているものを、一定のコンセプトでブレンドするのでしたら、味としては必ずしもネガティブな方向にはいかないというのも事実であると思います。
ワインの場合も厳密に申せばブレンド(アッサンブラージュ)されていることが殆どでしょう。しかし、コーヒーのブレンドとは内容がかなり異なります。
また、ワインは醸造されたアルコール飲料でありまして、ワインの作りによっては瓶内での熟成という工程は残ってはいるものの、ほぼ完成品として瓶詰めされた状態で消費国に入ってきます。
一方でコーヒーは生の素材のままで輸入され、それぞれコーヒー店で重要な工程(ワインで言えば、醸造工程に近い?)であるローストが残っています。(ローストしたものを輸入している場合もある。)
以上からも、何でもコーヒーとワインを同列に比較対比すること自体に意味があるのかという疑問もございますね。
しかしながら、長い間、特にヨーロッパを中心とした文明、文化にさらされ、消費するお客様の側である本物のグルマン(美食家)たちの厳しい評価に耐え抜き、進化をしてきたワインには、その違いをもってしても、参考にできる部分はあるのではないかと思う訳です。
話を戻します。
アッサンブラージュとはワインの世界でブレンドすることを言います。ブレンドと言いましても、何でもかんでも混ぜていいということではなく、一定のルール(法律)に則って行われている場合が多いです。
先にもご説明しましたがフランス AOCによればACブルゴーニュ+村名表記ワインでしたら、ブルゴーニュ地区にある、表記されている村の範囲で収穫されたぶどうしかアッサンブラージュ(ブレンド)できません。
基本は原産地に対する思い、敬意だと思います。
コーヒーにも
①アッサンブラージュの考え方、精神を取り入れることはできないだろうか?
②ブレンドするにしても、ある一定の法則があっても良いのではないか?
③スペシャルティコーヒーの一部は、そういった考え方に品質そのものがレスポンスしてくれるのではないか?
という仮説を立てて、開業前後からずっと検証を行ってきました。
弊店が例えばブラジルならカルモデミナス地区、バーイア地区産などテーマを決めて、複数農園、あるいは同一農園の生産処理工程が異なるものを、同時期に販売してきたのはこういった検証の意味合いもありました。